苦情が発生するのは確かに好ましい事態ではありません。しかし、その機会を利用して顧客に深い印象を与え、長期安定的なリレーションの構築に結び付けている事例も多くあります。苦情処理の迅速さ・巧拙が、取引維持・拡大か顧客喪失かの分かれ目となり得るのはまぎれもない事実です。  苦情を受け付けて適切に対応し、その機会を利用して逆に顧客とのリレーションを深めるためには、経営者が自ら進んで顧客の声を聞き、場合により陣頭指揮で迅速な解決に当たるなど、積極的に動くことが望ましいことは言うまでもありません。  企業の製品・サービスに対して不満を持っている顧客の数は、経営者が思っているより、はるかに多いと考えてよいでしょう。一説には、不満を持つ顧客のうち苦情を言うのは4%で、あとの96%は、ただ怒って二度と来ないだけであると言われています。 表面に現われる苦情よりも、潜在的な苦情の方がはるかに多いのが現実なのです。  本来、顧客はわざわざ労力をかけて苦情を申し立てるほど、その企業のことを思ってくれてはいないということです。苦情を言ってくれる顧客は貴重な存在です。企業にとって苦情の情報は、お金を払ってでも入手したい大事な情報であるはずです。  顧客に苦情を簡単に申し立てることのできる機会を提供すれば、一気に苦情の洪水が流れ込んでくるかもしれません。その上で、苦情を誠実に取り上げ解決するという姿勢を見せて、継続して実績を挙げれば、顧客はその企業を評価しロイヤルティを高めることも可能なわけです。  優れた企業はこのことに気がついて、日常業務の中で顧客が苦情を言いやすい環境を準備しています。たとえば、簡単なアンケート調査票や「お客様ご要望メモ」のような用紙の配布と回収、フリーダイヤルの苦情処理センターの設置などです。また企業側のアクションによって定期的に実施されるCS調査も、顧客に苦情申し立ての機会を提供する良い手段として、重要な位置を占めています。 --------
 顧客満足度を把握する方法と顧客満足度データの活用は、経営システムを改善していくうえで非常に重要です。顧客満足(CS)経営は、何よりも事実を把握することを出発点とする経営なのであり、継続して把握し分析される客観的なCSデータが大きな意味を持っています。また、企業が顧客の声を聞く姿勢を行動で示すこと事態が、顧客志向の経営を実践していることを対外的に示す良い機会になります。 ・顧客満足度の把握は、定期的に、できるだけ客観的なデータが得られるよう工夫して実施されなければなりません。客観的なCSデータを把握し分析することは、CS経営の実践において絶対に必要なことです。 ・収集するデータの内容についても、本当に意味のある顧客二ーズの切りロや良いアイディアを提供するものなのかどうか、常に検証した方がよいでしょう。 ・データの量に関しては、多くのものが収集できればその方がベターです。あまりにも少ないサンプル数に基づいて分析を行い、改善の基礎データとするのは、統計学的にも危険があります。 ・顧客満足度を把握する調査方法は、通常のマーケティング等の調査方法と同様であり、色々な種類があり得ます。 基本的には簡単な方法で十分であり、必ずしも大規模な情報システム装備を必要としません。 具体的には、調査票への回答記入を顧客に依頼する方法(調査票の配布・回収について、調査員の直接訪問による方法、留置法、郵送法などがある)、電話インタビューを行い調査員が聞き取った回答内容を調査票に記録する方法、フォーカス・グループ・インタビューによる自由な討議を記録する方法、随時得られた CS情報をデータベースに集積する方法などが利用されます。CSの最大化を目指す以上、何よりも顧客満足度の把握方法が優れていなければなりません。 ・CSデータは、適切な方法を用いて客観的に把握され、かつ組織全体を通じて活用されることで、CS経営の実践に貢献します。データを収集しただけでは意味がありません。分析して、活用してこそ意味があるのです。
製造業様向け情報セキュリティマネジメントシステムの必要性 * 日本の製造業の各社は、国際競争力を確保するため海外への工場進出の推進、あるいは国内工場における外国人研修生を受入れ、協力会社との分業を行うなど、企業の競争力を左右する企業情報に携わる人が多岐にわたっている。こうした動きは、既に避けることが出来ないものとなっている。こうした状況の中で、超優良企業と呼ばれる自動車関連の企業製造業で、大きな機密情報の漏洩事件があったことは記憶に新しい。これは対岸の火事ではない。 * 先端技術を扱う親会社は、下請け取引をする製造業に対しても大事な技術情報の漏洩などが発生しないように細心の管理を行うようになっている。そうした親企業との取引を継続していくには自社にもしっかりとした情報セキュリティマネジメントシステムを構築する必要がある。 * 大手製造業は知的財産権の保護のため特許戦略などが重要になるが、その下請け中小製造業の場合、製造現場での製造方法や用いる原材料など、文字や文書になっていない現場作業の中に守るべき情報資産が隠れている。 * ひとたび、先端技術情報の漏洩や情報ネットワークシステムに何か問題が発生し、事件・事故の発生となれば、企業の 事業継続性にも大きな影響が及ぶことを意味し、日常の工場稼働、事業存続にも大きな影響を受けることを意味 している。
医療機関における情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の実践 医療情報を取り扱う事業者は、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に沿って、医療機関における情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の実践が求められています。その実現手段としてISO27001認証取得をすることは、体系的なマネジメントシステムを短期間に合理的に構築するという面で非常に有効です。 ISMSの構築は PDCA モデルによって行われます。 JIS Q27001:2006 では PDCA の各ステップは下記のように規定しておりますので、合理的に構築を進めることができます。 ・P では ISMS 構築の骨格となる文書(基本方針、運用管理規程等)と文書化された ISMS構築手順を確立する。 ・D では Pで準備した文書や手順を使って実際に ISMSを構築する。 ・Cでは構築した ISMSが適切に運用されているか、監視と見直しを行う。 ・Aでは改善すべき点が出た場合に是正処置や予防処置を検討し、ISMS を維持する。 上記のステップをより身近にイメージできるようにするために、医療行為における安全管理のステップがどのようにおこなわれているかについて JIPDEC(財団法人 日本情報処理開発協会)の「医療機関向け ISMS ユーザーズガイド」の例などを参照して進めていきます。 医療分野においては診察、診断、治療、看護等の手順が過去からの蓄積によってすでに確立されているため、あとは事故やミスを発見したときにその手順にそって分析していくことで、どこを改善すればよいかがおのずと判定できます。分析結果にもとづき必要な対策を実行することで、安全が高まる仕組みが出来上がっているためと言えます。反面、情報セキュリティでは IT技術の目覚しい発展により、過去の経験の蓄積だけでは想定できない新たなセキュリティ上の問題点や弱点が常に存在し得ます。そのため情報セキュリティ独自の管理方法が必要であり、ISMSはそのために考え出されました。ISMSは医療の安全管理と同様 PDCA サイクルで構築し、維持して行きます。逆に言えば、医療関係者にとって ISMS 構築は P のステップを適切に実践し、ISMS の骨格となる文書体系や手順等を確立すれば、あとは自然に ISMS が構築されていく土壌があると言えます。

環境会計

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 環境会計とは何のことでしょうか。環境省の定義では「企業などが持続可能な発展を目指して、社会との良好な関係を保ちつつ、環境保全への取組みを効率的かつ効果的に推進していくことを目的として、事業活動における環境保全のためのコストとその活動により得られた効果を認識し、可能な限り定量的(貨幣単位または物量単位)に測定し伝達する仕組み」とされています。  社内的には、経営者や関係部門による環境情報システムとしての環境会計の利用を通して、環境保全対策に要したコストとその効果を数値で捕まえ評価することによって、その活動をより効果的なものにするのに有効とされています。社外的にはその結果を公表することによって、企業の社会的信頼を高め、社会的評価を確立していくことにつながるとされています。  環境省は、環境会計に関する情報の提供側と受け手の双方にとって、共通の枠組みとなることを目指した「環境会計ガイドライン」を、また、その理解を容易にするため、Q&A形式によるガイドラインの解説や環境会計への取組事例などをまとめた「環境会計ガイドブック」を公表しています。また、「環境会計支援ソフトウェア」は、環境省がホームページ上で、それに基づいて企業などが自社の環境会計情報を集計し、その情報をネットに送信し、ホームページ上で公開することもできる仕組みです。
3 R とは、Reduce、Reuse、Recycleの頭文字がRであることから3 Rと呼んでいます。3 Rの内訳は次のとおりです。 ・Reduce(リデュース):製品設計の省資源化や長寿命化などによって、資源の消費量を削減します。 ・Reuse(リユース):使われた製品を一旦回収して、必要に応じて適切な処置をし、製品として再使用したり、再利用可能な部品は再利用します。 ・Recycle(リサイクル):一旦使われた製品や製造段階で発生した副産物を回収し、原材料として再利用(マテリアルリサイクル)したり、それが困難な場合には焼却熱をエネルギーとして再利用(サーマルリサイクル)します。  3 R 活動の基本は、資源の消費を削減し、製品は再使用し、それが不可能なら、資源にして再利用しようというものです。この基本的考え方を実行に移すには、特に製品のライフサイクル全体を見通したうえで、製品の設計段階から計画的に対応し、生産システムを構築し、環境に配慮した流通・消費システムを構築することが必要です。  省資源・省エネルギーによるコストダウンを目指す取組みは、地球環境の保全を図るという企業の社会的責任を果たすことにもなり重要です。もし、 ISO14001認証取得をしている組織で、環境目的・目標に3 R の観点がまったくなければ、この際、見直ししてみてはいかがでしょうか。
 ゼロ・エミッション(ZeroEmission)は、生産活動によって出される廃棄物をゼロにしようとするものです。循環型産業システムを目指し、全産業の製造過程を再編成することにより、新しい産業クラスターを構築しようとするものです。  また、循環型の社会システムにしていくには、企業の生産部門だけに止まらず、家庭や地域の廃棄物も最終的にゼロにすることも必要です。ゼロ・エミッションは自治体や地域団体などにもこの運動が広がりつつあります。  「少ない材料で効率の高い製品をつくる」「リユース(再使用)できる材料をできるだけ多く製品の中に組み入れる」「ある産業が出す廃棄物が他の産業の原材料になるような産業構造を考える」などの取組みは、企業の先進的な環境への取組みとして社会的な信頼度を高めるとともに、製造・流通コストの削減にもつながる有効なシステムとなります。

省エネルギーの推進

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 省エネルギーの推進は、地球温暖化対策を進めていくために不可欠です。このため、わが国では政府の指導のもと、エネルギーが消費される「産業」「運輸」「民生」各分野にわたり、積極的な省エネルギー対策が展開されています。また、「改正省エネルギー法」に基づき、工場、建築物および機械器具(自動車、家電製品など特定機器)について、エネルギーの使用の合理化に関する基本方針が定められています。  企業における省エネルギーへの取組みは、地球環境への負荷軽減に寄与するだけではなく、エネルギー効率改善によるコスト削減や、生産システムの革新にもつながります。省エネ推進のキーポイントは、次のとおりです。 1.省エネルギーの推進は、全員参加型の小集団活動が有効であり、省エネルギー担当者を決めて、権限を与える。 2.経営者が省エネルギーの方針(目標、期間、投資額など)を明確にして、これをふまえて、各工程ごとの推進計画表を作成し、その対策を推進する。 3.エネルギー使用の状況を把握して、改善案を立案し、これを推進する。  なお、改善案の立案にあたっては、まず身近な小改善の積み重ねが重要です。そして、従来の生産プロセスやサービスプロセスを維持しながらも部分的な設備投資の検討をします。さらに、生産工程、サービス提供工程そのものの改善による大きな効果がある省エネルギーの検討を行います。
Q 当社は電気製品の部品加工と組立を行っております。従業員は90名です。ISO9001を本年度中に取得しようとISO事務局を作って発足しましたが、理解しにくいので、コンサルタントをお願いしようと考えております。どのようなコンサルタントにどのような内容を依頼したら良いか分かりませんので教えて下さい。 A どんなコンサルタントにお願いしたら良いかという点ですが、コンサルタントが会社の希望に合うことが大切です。一般的にコンサルタントのQCDについて考えてみたいと思います。コンサルタント Q(サービス品質)の判断ですが、次の3つの評価基準で判断されてはいかがでしょう。 ① これまでのコンサルタントを行なった件数 ② コンサルタント自身が受審の経験があるか ③コンサルタントだけでなく、審査の経験があるか  以上ですが、数が多ければそれだけ依頼されていると考えられます。具体的社名は、聞いても言わないはずです。なぜなら顧客の秘守義務があるからです。大きなコンサルタント会社は営業マンが来ますが、サービスを提供するコンサルタントに必ず面談して決めた方が良いと思います。なぜなら営業マンがどんなに良い人でもサービスを提供するコンサルタントでないからです。  やはりコンサルタント自身で審査を受けた経験がある方が良いし、舞台裏を知っているからです。そしてさらには審査員としての経験している方がより適切なコンサルティングができると思います。以上の3つを総合的判断基準としたらどうでしょうか。  次に費用です。費用にはかなりの幅があるようです。1時間当たりだけでなく、トータル費用も考えてみるべきです。大手コンサルタント会社は裵経費などで高額です。コンサルタントは当社のような大手コンサルタント会社から独立してやっている人のほうがスキルが高いことが多いです。大手コンサルタント会社のコンサルタントはサラリーマンで自分の看板で稼ぐ力のない人なのです。 コンサル活動期間は 半年から1年程度で、大体 10日位から25日位が予想されます。このトータルとどの位まで関与してくれるかによって変わります。  日程ですが、やはり希望する日程に来てもらえるか、また同一の人が来てくれるか確かめることも必要です。 依頼する方もなるべく早く日程を示す方が希望に合う日にコンサルティングができます。  コンサルタントも2〜3カ月先まで決めていることが多いのです。長期間1社には行きませんので、かなり細かく予定を立て空きのないようにしていると思います。  以上のようなことを選定の基準に早く決めることが良いと思います。内容について、ISO要求事項、品質マニュアル作成、社内規定の作成、模擬審査(手順の確認と実施状況の確認)の一通りのコンサルティングを受けることが一番良いと思いますが、品質システム構築ができていれば模擬審査だけとかスポットでの支援でも良いと思います。

ISO9001 beyond

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 企業にとって常に改善していかなければならない3大要素に、Q(品質)、C(コスト)、D(納期)があります。そしてこの Q、C、Dは、個別に独立したものではなく、相互に関連しています。ISO9001はこの中で、Q(品質)に限定して要求事項を述べています。しかし、経営コンサルティングの場面は、むしろコスト低減が最も多いといえます(つまり、企業が最も強く改善を感じている領域はコストかもしれません)。  この事実に対して、「品質以外は要求事項ではないので、別のシステムにすべきだ」と思っておられる企業が多いのも事実です。 ISO9001は2000年版から、「品質マネジメントシステム」というより「顧客満足のためのシステム」と原則にも書いてあります。この視点から考えるとISO9001の要求事項ではないけれども、重要な関連領域・システムは数多く存在します。  当然ですが企業はQ(品質)、C(コスト)、D(納期)のバランスの取れたマネジメントシステムを持つべきです。  その実現のためには、一つのシステムであっても、複数のシステムであってもよいでしょう。そうすると、選択肢のひとつとして「ISO9001の要求事項のよさをベースにして適用できる領域には横だし、上乗せしてシステムを構築することが浮上します。  ISO9001の要求事項の良さとして、P・D・C・Aサイクル、プロセスアフローチ、目標管理、是正&予防処置など継続的改善を構成するツールが挙げられます。これに付加する対象としては、「.販売、利益、コスト管理」「納期管理(製造業における生産管理)」「新商品/新サービス開発管理」「提案型の営業システム」「社内改革システム」などが考えられます。  このようにISO9001に横だし、上乗せしてシステムを構築しても、規格要求以上のことを規定していることに対して、審査員は過剰だから、不適合ということはありません。審査員は規格要求事項に適合しているか(網羅しているか)を見て指摘をしますが、過剰なシステムに対して指摘するのはコンサルティングと判断されるので指摘できないはずです。  上記の5つのシステム拡大の例は、規格要求上からは玉虫色ですが、規格要求に含まれていると判断しても不自然ではありません。一方、御社がこれらの拡大システムにするメリットを感じられるなら、経営改善のために「横だし、上乗せ」して、実施をマネジメントし、審査員にも審査してもらってもよいのではないでしょうか。私を含めた多くの審査員は、経営改善を考慮した「横だし、上乗せ」は歓迎致します。しかし、この希望は、ISO9001だけの専門家では審査することが不可能になります。経営コンサルタント(中小企業診断士などの公的な資格と実務経験を持つプロのレベルの人)であり、かつ、ISOの審査員としてもプロとしての力量をもつ人に評価してもらうのがよいでしょう。